株式会社ミラタップ(以下ミラタップ)が運営する「miratap online store」は、2017年からDGビジネステクノロジー(以下DGBT)が提供するECサイト構築パッケージ「SI Web Shoping」とサイト内検索サービス「NaviPlusサーチ」をEC基盤として活用しています。

今回、ミラタップが追求するECサイトでのブランド体験向上と、その基盤を支える「SI Web Shopping」「NaviPlusサーチ」の効果について、マーケティング部シニアマネージャーの宇良様にお話を伺いました。

 

※掲載している企業情報および記事内容は、取材時点(2025年7月)のものです。

「ミラタップ」のECモデルと顧客体験へのこだわり

「ミラタップ」のビジネスモデルについて、教えてください。

当社はECを主体としており、住宅設備・建材業界の中では他に類を見ないビジネスモデルです。住宅設備や建築資材は一般的に高額であり、購入決定までには長い検討期間を要するため、同業界では「ECだけで住宅設備を買う」ということがまだまだ浸透していないと感じています。

多くの同業他社はショールームや対面営業に注力し、中間流通業者からの購買が一般的ですが、当社はECを中心とした誰が買っても同一条件、同一価格の「ワンプライス」で商品を提供し、より多くのお客様が、手軽に理想の空間づくりにアクセスできる環境を目指しています。

その実現のために掲げているのが「高品質」「ワンプライス」です。従来のように販売ルートや交渉によって価格が変わることを排し、高品質な商品を誰にとっても公平でわかりやすい価格設定で提供することを徹底しています。この透明性が、オンラインでも安心して購入ができる要素となっています。

「miratap online store」では、どのような取り組みをされていますか?

UI/UXの質が低ければ、どんなに良い商品でも選ばれません。そのため、当社では、オンラインでの顧客体験向上に注力しています。まず商品情報の拡充に注力し、施工事例や3Dビューなどのビジュアルを充実させました。実際の空間でのイメージを伝えるコンテンツを強化することで、購入の不安を減らしています。

また、ハッシュタグやWeb接客ツールを導入し、サイトの回遊性と購入導線を改善しました。ハッシュタグ経由の訪問は通常の2〜3倍の流入PVを生み、サイトを回遊されたお客様の購買率も非常に高い水準で、Web接客ツールでは、顧客の行動に応じてポップアップ表示や関連商品を紹介していますが、クリック率が高く、データとして明確な効果が出ています。

サービス面では、立ち上げ初期から見積もり機能を搭載し、特に法人や会員向けに機能強化を進めています。将来的には、アナログなやり取りを減らし、誰でも簡単・スムーズにオンラインで見積もり・購入できる環境を整えていきます。

こうした取り組みは単なる利便性の向上にとどまらず、ミラタップの世界観をオンラインで体験していただくための重要な施策だと考えています。

「SI Web Shopping」×「NaviPlusサーチ」が支えるミラタップの”EC基盤”

UI・UXを高める基盤として「SI Web Shopping」をご利用いただいていますが、導入の背景やどのように役立っているか教えていただけますか?

「SI Web Shopping」を採用した最大の理由は、”カスタマイズ性”の高さです。住宅設備・建材という複雑な商材を”ワンプライス”で販売する、当社のビジネスモデルに対応でき、価格表示など商品ページの見せ方、見積機能など、一般的なECプラットフォームでは難しい要件も柔軟に実現できました。

 

ミラタップ 商品詳細 商品ページ 価格表示 ミラタップ 見積 価格表示


加えて、商品数やカテゴリ数が多く、アクセスも年々増加する当サイトにとっては、大規模トラフィックに耐えられる”安定性”が不可欠です。基盤が不安定ではUI・UXの施策も効果を発揮できませんが、その点「SI Web Shopping」は、ブランド体験を安心して展開できる基盤となっています。

運用面でも大きな改善がありました。以前は担当者毎にページ制作の仕上がりにばらつきが出ていましたが、「SI Web Shopping」によりテンプレート化・マニュアル化が進み、属人化を防ぎながら、誰が担当しても一定の品質を保てる体制が整いました。


また、商品表示のルールやページ構成などを柔軟に調整できるため、細かな改善やチューニングを継続的に積み重ねられるのも、この安定した基盤があるからこそ、と感じています。

「NaviPlusサーチ」についてはいかがでしょうか? 

「miratap online store」では豊富な商品ラインナップを扱っているため、サイト内検索は非常に重要な機能です。しかし、「NaviPlusサーチ」導入前は、商品点数の増加に伴い“探しにくい”という声が多く寄せられていました。特に建材や住宅設備は専門用語やサイズ違いが多く、表記ゆれや曖昧な検索では商品がヒットせず、機会損失につながるケースも少なくありませんでした。

ミラタップ サイト内検索 サジェスト 検索窓

「NaviPlusサーチ」導入後は、こうした課題が大きく改善しました。

表記ゆれに対応して商品が正しく表示されるようになり、サジェスト機能によって検索窓に文字を入力するだけで検索候補が提示されるため、ユーザーは目的の商品にスムーズにたどり着けます。

結果として、検索に伴うストレスが大幅に軽減され、「欲しい商品がすぐに見つかるようになった」という声も数多くいただいています。

 

さらに、検索を利用したユーザーは利用しないユーザーよりも購入につながりやすく、検索経由のCVRも改善しました。加えて、検索ログは、SEOや商品戦略の見直しに活用しており、「このキーワードで探されているのに、商品がない」と分かれば新規開発のヒントに、「このカテゴリが注目されている」と分かればプロモーションの企画につながります。

検索は単なる利便性向上にとどまらず、購買行動の入口であり、お客様の声を可視化するツールでもあります。「NaviPlusサーチ」によって、顧客体験を改善すると同時に、データドリブンな施策の基盤を得ることができました。

「SI Web Shopping」で“見せ方”を、「NaviPlusサーチ」で“探しやすさ”を。それぞれの強みが揃ったことで、写真や動画といったビジュアル投資や、オンライン接客などの施策も効果を発揮し、強い基盤があるからこそ、次の挑戦がムダにならないと感じています。

 

「飛躍期」に挑むミラタップのデジタルマーケティング戦略

「miratap online store」の運営における方針や目標について教えてください。

現在は、「ミラタップ」の認知拡大とトラフィック増加を最重要方針としています。2024年10月には社名を「サンワカンパニー」から「ミラタップ」に変更し、新ブランドでの認知を改めて築く”飛躍期”に入ったところです。EC運営では、ブランド浸透とともに売上拡大を目標としています。

 新社名「ミラタップ」には、どのような背景があったのでしょうか?

社名変更にはいくつか理由があります。まず、「サンワカンパニー」は業界内外に類似名称の企業が多く存在し、特に海外展開を見据えた際に商標の壁がありました。実際に中国では「サンワ」の名称が既に商標登録されていました。よりユニークでグローバルなブランド名が必要でした。

 

ミラタップ ロゴ サンワカンパニー 未来をタップするそこで選ばれたのが、「ミラタップ」です。

「指先ひとつで、空間に関わるすべてのモノ・サービスを届けたい」という想いを込めた「未来をタップする」というコンセプトから名付けられました。
「覚えやすく」「短く」「シンプルで」「商標が取得できる」条件を満たすものとして、名称の検討には5年以上をかけ、満を持して変更に至りました。

 

 社名変更による影響はありましたか?

変更直後は、一時的にトラフィックが減少しました。旧社名での認知が強く残っていたことや、ドメインの変更によるGoogleの検索評価の一時的な低下が影響しています。

現在ではテレビCMでの全国展開やTVer広告を通じて、流入は回復しつつありますが、代理店やお客様への浸透はまだ十分ではありません。検索は増加傾向にある一方、商品カテゴリーでのキーワード検索は伸びしろが大きく、SEO強化が今後の重要な課題です。

2025年9月期を「飛躍期」と位置づける中でデジタルマーケティング戦略について教えてください。

取り組みは大きく2つの軸です。

1つ目は「ブランドの再構築」
社名変更で、認知拡大をゼロから再スタートする状況になりました。
そのため、全国規模でのテレビCMやTVer広告により、新ブランド「ミラタップ」を広く浸透させていきます。

2つ目は「データドリブンマーケティング」です。
従来は「SI Web Shopping」から、基幹システムへ注文データを連携していましたが、分析基盤が不十分でした。そこで今期から、CDP導入をし、顧客データを統合的に分析できる環境を整えています。

当社のお取引先は、施主様・工務店様・設計事務所様・ハウスメーカー様など非常に多岐にわたり、購入者と使用者が異なるケースも多くあります。そのため、広告や検索からの流入が、最終的にどのユーザーの購入につながったのかわかりづらく、購買傾向の把握が難しい状況でした。

今後はデータを突き合わせながら、例えば「この施主様はこの工務店様経由で購入」といった関係性まで可視化し、科学的に購買傾向を分析できる仕組みを作っていきたいと考えています。

 

miratap_interview_meeting(2)

今後の展望

マーケティング強化やCDP導入などにより、ブランドや事業成長に大きな推進力をかけている印象を受けました。今後のEC展開について、お聞かせください。

今後の戦略は、大きく2つあります。1つは「UI/UXのさらなる改善」です。

 

 ミラタップ ミラタップのあるくらし インスタグラム 施工事例 インテリア EC現在の商品ページは白抜きの画像と施工事例が中心ですが、インテリア系ECサイトのような豊富なビジュアルを用意できていません。

使用イメージやくらしのシーンがより具体的に伝わる提案として、写真素材の充実や利用シーンを想起させるページ作り――“ビジュアルから感じる提案力”を強化していきたいと思っています。

SNSでは施工事例の投稿なども多数見られ、これらのコンテンツをサイトにも埋め込み、静止画だけでなく動画でも伝えられるようにしたいです。

 

2つ目は、「購入後体験のデジタル化」です。
ECでの購入は完結できる一方、納期変更や配送調整などは、電話などアナログな対応に頼っているのが現状です。

これらをお客様がオンラインで完結できるようにすることで、利便性が格段に向上し、人手に依存しない運営体制にもつながります。住宅設備・建材業界ではまだ珍しい取り組みであり、デジタル化を推進できれば大きな差別化ポイントになると考えています。

業界や市場のトレンドを踏まえて、今後特に注力したい施策や計画があれば教えてください。

「データドリブンマーケティング」に加えて、AIの活用に注目しています。

例えば、ショールームでのお客様との会話には、さまざまな情報が詰まっており、AI解析によってサービス改善や商品開発に役立てられる可能性があります。また、接客領域でのAI活用は今後取り組んでいきたい大きなテーマです。

また、検索やレコメンドの仕組み自体も進化しています。生成AIに「キッチンの主要メーカーは?」と尋ねても、現状では「ミラタップ」の名は出てきません。今後はAIO(AI検索最適化 / Artificial Intelligence Optimization)に取り組み、AI時代におけるブランド露出を高めていきたいと考えています。

DGBTに期待すること

現在の課題や新しい取り組みに対し、DGBTに期待することがあれば、お聞かせください。

「ミラタップ」は住宅設備・建材ECのパイオニアとして、常に「さすがミラタップ」と言われる存在であり続けたいと考えています。そのためにも、DGBTからの新しい提案や示唆には今後も期待しています。

特にEC事業者に視点を置くだけでなく、お客様目線で「こうした方が便利では?」という提案や他社の成功事例を踏まえた具体的なアイディアをいただけると非常にありがたいです。

また、2025年4月の経営統合により、DGBTのサービス領域が大きく広がったと認識しています。当社でも、越境ECやAmazonなど多店舗展開を視野に入れているため、トータルでのパッケージ提案も大いに期待しています。

最近特に注目しているのがAI活用です。商品画像の生成やレコメンド、検索の高度化など、顧客体験を進化させる余地は大きいと感じています。実際に他社のAIツールで商品画像生成を試した際は、まだカタログに使えるレベルではありませんでしたが、ここ数ヶ月で急速に進化していることも実感しています。

設計や間取りの分野では、AIによる3Dバースの生成が既に進んでいます。将来的にAIに図面や仕様情報を読み込ませて空間提案に活かすことも可能になるはずです。住宅設備領域ではまだ事例が少ないですが、画像提案やクリエイティブのPDCAを加速するうえで、AIは大きな鍵になると考えています。

単にAIを導入するのではなく、ブランド体験や業務改善の観点で、どう活かすかをDGBT(※)と一緒に模索していきたいですね。今後も具体的な活用イメージを共有しながら協議を重ねていけたら幸いです。

(※)DGBTは、デジタルガレージと連携して「DG AI Driveを提供しています。

 

miratap ミラタップ EC トップページ

 

「miratap online store」では、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」とサイト内検索サービス「NaviPlusサーチ」をご利用いただいています。

DGBTは、デジタルガレージグループ一丸となり、今後もミラタップ様のデジタルビジネスを総合的に支援し、戦略立案から運用まで一貫したサポート体制で、お客様の成長と安心を支えていきます。

 

■関連サイト
NaviPlusサーチ
SI Web Shopping
DG AI Drive